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2006年5月20日 (土)

遺伝ダイナミクスの場合

 プライスの共分散法はC行動の平均利得がD行動の平均利得を上回る必要十分条件を示しているが、後で示すように学習ダイナミクスの場合はこの条件が成立していてもC行動が増加するとは限らない。

 しかし、遺伝ダイナミクスの場合は

  ・利得が適応度(子供の数の平均)を示す

  ・親子の戦略が完全に一致する

の2条件を満たすときには平均利得の高い行動が増加することが知られている(レプリケーターダイナミクス)。

 ただし、親子の戦略が完全に一致することは通常はありえないので、ここでは親子の戦略がある程度は一致するがある程度は異なる場合も考えておこう。

 C行動を採る親からC行動を採る子供が生まれる確率をp、D行動を採る子供が生まれる確率を1-pとする。同様に、D行動を採る親からD行動を採る子供が生まれる確率をp、C行動を採る子供が生まれる確率を1-pとする。またC行動を採る親の子供の数の平均(平均適応度)をwc、D行動を採る親の平均適応度をwdとする。

 現在N人中Nx人がC行動を採る親で、N(1-x)人がD行動を採る親であるとすると、次の世代でC行動を採る人は

    Nxpwc+N(1-x)(1-p)wd 人

D行動を採る人は

    Nx(1-p)wc+N(1-x)pwd 人

となる。

 これより、次世代でC行動を採る人の割合x'は

    x'=[Nxpwc+N(1-x)(1-p)wd]/[Nxwc+N(1-x)wd] 

      =[xpwc+(1-x)(1-p)wd]/[xwc+(1-x)wd] 

 この式をx'>xに代入して整理すると、次世代でC行動を採る人の割合が現在よりも増加する必要十分条件はp>1/2のときには

     wc>wd

であることが分かる。

 p>1/2は子供の戦略がある程度親の戦略と一致していることを示しているので、その場合には適応度で表した利得が

     Cov(xi,ui)+E[xi(1-xi)Δui]>0

を満たすときにはwc>wdとなるので、子供の代でC行動の割合が増加することが分かる。

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